映画へのモチベーションは「視点の変化」ということでした。昔、思い描いていた将来像は記憶の隅っこに追いやられていて、今では心地よい日常の流れに身を任せて生きている50歳半ばの主人公。
  たまに昔の自分を思い出すことがあったとしても“あの頃は若かったなぁ”と少しほろ苦い感傷に浸ったりする程度…これは現在から過去を見る視点で、ある意味日常的なことと言えます。
  しかし過去から現在の自分を見る機会は日常にはあまりありません。勿論、SF映画ではタイムマシンを使って未来や過去に行く話は定番ですが、現実の話として、過去にタイムスリップするような出来事を体験したとしたら、そしてもし自分の過去が自分の全く知らないところで、違う意味を持っていたことを知ったら…
  視点が変化することにより現在の自分の見え方が違ったものになり、主人公の中で何かが変わっていく…そんなイメージをゴールにしてシナリオを書き進めました。
大町孝三(監督・脚本)